大村智(おおむらさとし)先生をご存じでしょうか?
北里大学薬学部教授を務められていた方で後に北里研究所の所長や北里大学北里生命科学研究所教授・所長などをお勤めになられた先生です。

私は大学時代にハンドボール部とスピードスケート部(冬季のみ)に所属していてハンドボール部は北里大学と交流があり合同で合宿を行ったりしていました。
ですので北里大学の方には大変お世話になりました。

その北里大学、北里研究所の大村智先生の事を書かれた本があります。
「大村智 2億人を病魔から守った科学者」馬場錬成 著(中央公論新社)

ブユに刺された時、吸血時にミクロフィラリアを移してしまい象皮病や白内障、角膜炎を起こしてしまい盲目となってしまうオンコセルカ症(河川盲目症)というよる線虫の感染症がガーナなどで蔓延していたそうです。

1974年に静岡県川奈ゴルフ場周辺の土中から発見された放線菌が産生するエバーメクチンの誘導体であるイベルメクチンが線虫に絶大な効果を持つことを突き止め共同研究先の米国メルク社から発売されるようになった。この薬は犬のフィラリア症にも効果があり、犬を飼っている方はご存知だと思いますがフィラリアの予防薬は大村先生たちの手によって発見発明された薬なのです。

また、沖縄・奄美でみられる糞線虫の治療にも使われているそうです。

アフリカで蔓延していたオンコセルカ症の治療・予防としてメルク社がイベルメクチンを無償供与し、リンパ系フィラリア症に対してイベルメクチンとアルベンダゾールの併用が効果があるとのことでアベンダゾールはグラクソ・スミスクライン社が無償提供しているそうです。

「後発品、ジェネリック医薬品」は安いといわれますが、先発品の特許切れを待って製造販売しているわけですから開発費がかかっていません。回収しなければならない開発費がないわけですから安価ですみます。
近年なにかと叩かれやすい製薬会社ですが、このような国際貢献が行われている事も知っておいて欲しいです。

個人のことだけを考えれば安いほうがいいですが、新しい薬の開発につながることを考えると後発品のみでなく研究開発に力を入れている製薬会社の製品を購入することが将来のために繋がりそうですね。
(薬だけの問題ではありませんが)

長くなってしまいましたが、これから医学薬学の道へ進むことを考えている方には読んでいただきたい一冊です。

大村智先生の本

まちだクリニック