先日がん判明も治療せず放置 福岡大病院、医師が確認怠るというニュースがありました。
産経ニュース 2014.11.28
福岡大病院(福岡市)は28日、喉頭がん患者の70代の男性を検査した際、食道がんが見つかったにもかかわらず40代の男性主治医が検査結果の確認を怠ったため、治療せずに放置する医療ミスがあったと明らかにした。

 病院によると、男性は平成22年2月、病理検査で「食道は悪性の所見あり」と指摘されたが、主治医がこの診断を見落とした。男性は喉頭がんの治療だけを受けた。4年後の26年6月、男性は自宅で食事した際、「食べ物がのみ込みにくい」と訴えた。内視鏡検査で食道がんが見つかり、その後入院。治療を受けて経過が良好になり、10月に退院した。

 病院の調査委員会が検証した結果、4年前に主治医が確認するのを怠っていたと判明。病院側は取材に「検査結果を複数の医師で確認する体制を整えるなど、再発防止に努める」と説明した。

咽頭・喉頭がんは耳鼻咽喉科で、食道がんは消化器内科もしくは消化器外科で治療するのですが、これらは同時期もしくはタイムラグをもって見つかることが多い疾患です。
ですから咽頭・喉頭がんが見つかったら食道の精密検査を行うこと、逆に食道がんが見つかったら耳鼻咽喉科による精密検査が必要と思われます。
この方は4年前に食道がんを指摘されていましたが連絡の不備で情報が伝わっていなかったのではないかと思います。
なぜ4年前に主治医が内視鏡検査を行っていながら病理検査の結果を確認していなかったのかが悔やまれますが、今回治療を受け無事に退院することができたということは不幸中の幸いと思います。

内視鏡検査では検査後に検査報告書がでますが、組織検査を行った場合にはそれから数日遅れて病理組織検査報告書がでます。
消化器以外を専門とする医師は内視鏡の結果のみを確認して病理組織検査の結果を確認しないということがあるのかもしれません。
内視鏡検査を受けられた時は「病理組織検査結果はどうでしたか?」と主治医に確認したほうがいいでしょう。
外来が忙しい先生は内視鏡検査を依頼したことを失念しているかもしれません。

まちだクリニック