まちだクリニックの町田宏です。

10月8日〜10日は学会出席のため予内視鏡検査や外科処置はお休みさせていただきます。

10億人を救った特効薬=ノーベル賞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151005-00000149-jij-soci
時事通信 10月5日(月)20時52分配信
 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大村智・北里大特別栄誉教授は、長年にわたり微生物が作る有用な化合物を探求してきた。
 中でも1979年に発見された「エバーメクチン」は、アフリカや東南アジア、中南米など熱帯域に住む10億人もの人々を、寄生虫病から救う特効薬へとつながった。
 大村さんは73年、大手製薬会社メルク社と共同研究を開始。さまざまな微生物が作る抗生物質などの探索を進める中で、静岡県内の土壌から分離された微生物が生産するエバーメクチンを発見した。
 この物質は線虫などの神経系をまひさせる一方、哺乳類の神経系には影響しない特性があることが分かった。エバーメクチンを基に、さらに効果を強めた「イベルメクチン」は家畜の抗寄生虫薬として世界的なベストセラーとなった。
 さらに、失明につながるオンコセルカ症やリンパ系フィラリア症(象皮症)など、熱帯域にまん延する寄生虫病にも効果があることが判明した。
 世界保健機関(WHO)はメルク社の協力を得て、アフリカなど寄生虫病に苦しむ地域にイベルメクチンを配布するプログラムを開始。メルク社によると、2012年までに延べ10億人以上にイベルメクチンが無償提供された。
 WHOによると、西アフリカでは02年までに少なくとも4000万人のオンコセルカ症の感染を予防。象皮症でも00年から対象となる53カ国でイベルメクチンなどの集団投与が進められており、20年までの制圧も視野に入ってきている。 

アフリカの話だけではなく、沖縄にも関係あるのです。

沖縄でも「糞線虫」という寄生虫の感染症があり、その治療に使われているのが
大村智先生が開発した「イベルメクチン」なのです。
糞線虫だけではなく、疥癬にも有効だそうです。

昨年12月のブログで大村智先生と題した記事を書きました。
「大村智 2億人を病魔から守った科学者」馬場錬成 著(中央公論新社)

ブユに刺された時、吸血時にミクロフィラリアを移してしまい象皮病や白内障、角膜炎を起こしてしまい盲目となってしまうオンコセルカ症(河川盲目症)というよる線虫の感染症がガーナなどで蔓延していたそうです。

1974年に静岡県川奈ゴルフ場周辺の土中から発見された放線菌が産生するエバーメクチンの誘導体であるイベルメクチンが線虫に絶大な効果を持つことを突き止め共同研究先の米国メルク社から発売されるようになった。この薬は犬のフィラリア症にも効果があり、犬を飼っている方はご存知だと思いますがフィラリアの予防薬は大村先生たちの手によって発見発明された薬なのです。

また、沖縄・奄美でみられる糞線虫の治療にも使われているそうです。

アフリカで蔓延していたオンコセルカ症の治療・予防としてメルク社がイベルメクチンを無償供与し、リンパ系フィラリア症に対してイベルメクチンとアルベンダゾールの併用が効果があるとのことでアベンダゾールはグラクソ・スミスクライン社が無償提供しているそうです。

「後発品、ジェネリック医薬品」は安いといわれますが、先発品の特許切れを待って製造販売しているわけですから開発費がかかっていません。回収しなければならない開発費がないわけですから安価ですみます。
近年なにかと叩かれやすい製薬会社ですが、このような国際貢献が行われている事も知っておいて欲しいです。

個人のことだけを考えれば安いほうがいいですが、新しい薬の開発につながることを考えると後発品のみでなく研究開発に力を入れている製薬会社の製品を購入することが将来のために繋がりそうですね。
(薬だけの問題ではありませんが)

大村智先生を紹介した本で大村先生のことが詳しく書かれていますので
ご興味のある方は是非読んでいただきたいとおもいます。

当院の待合室にも置いてあります。

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